答案のおとし所

(元)司法試験受験生の立場から、再現答案のアップしたり、日々の勉強での悩み、勉強法などについて書いていきます。

答案何頁書いた?(基本7科目における2時間の使い方)

1 はじめに

 あなたは友人との間で「答案何頁書いた?」というやり取りをしたことがあるのではないでしょうか。

 司法試験で答案を書くとき、答案構成の時間はどのくらいにするべきか、何頁書くべきかという議論をよく耳にします。このような指針はあくまで「べき」論であって、必ずこうしなければならないというものではないと思います。

 他方で、自身の暴走を抑制するルール作りとして、また、いかに効率よく点を稼ぐかというスタンスとして、このような指針は大変有用であると思います。
 また、答案構成の時間が短ければ短いほど、答案を書く時間を長く確保することができ、それに伴って通常は書くことのできる文字数が増えるはずです。他にも、文字を書く時間が早ければ早いほど、書くことのできる文字数を増やすことができるでしょう。

 本記事は、頁数ではなく、文字数にこだわる意識を持っていただくために書くことにしました。2時間という受験生に平等に与えられた試験時間の使い方について、受験生の皆さんに是非一度考えてみていただきたいです。
 単なる何頁書いた自慢になってしまっていないか、2以下を読んでチェックしてみてください。

 なお、答案構成なんて不要だ!と言われることがあるかもしれませんが、あれは結構特殊かと思います。自分も、答案構成用紙を使うことはほとんどないですが、問題用紙の余白部分に人物相関図や時系列を書いたり、問題文それ自体にマーカーを引いたりという作業をしています。これもれっきとした答案構成ですよね。

2 事前に確認すべきこと

 まず、答案用紙について考えてみましょう。
 司法試験の答案用紙は1頁が23行で8枚です。ここで何頁書く「べき」とかいう議論が出てくるわけです。
 ここで確認しておくべきことは、①答案用紙1行に書いている文字数です。これが異なれば単に頁数が多いとか少ないとかを比較しても意味がありませんよね。
 例えば、自分の場合は、答案用紙1行に20から25文字、1頁に460から575文字(ナンバリングや改行も考えると1頁に500文字)くらいで書きます。

 次に、答案構成について考えてみましょう。
 当たり前ですが、試験問題と試験時間は平等に与えられています。
 ここで確認しておくべきことは、②答案用紙1頁を書くために要する時間(筆力と表現されることもあるかと思います。)です。②=答案用紙1行に書いている文字数(①)×23行です。
 例えば、自分の場合は、1頁13から15分くらいかかります(友人は10から12分くらいで書いており、相対的に遅かったです)。なお、科目により異なると思います。
 最低限確保したいと思っている頁数の時間は確実に残しつつ、答案構成の時間を考えなければなりません。

3 逆算して実践する(答案を書く際に意識すべきこと)

 上記①及び②を念頭に置くと、答案構成に充てることのできる時間が限られてくることがわかります。
 例えば、自分の場合、最低限3000文字(6頁)は書く「べき」と考え、そのためには78から90分を確保しなければならず、残された30から42分を答案構成に充てることができます。

 他方で、科目によって、又はその難度によって、上記方針が奏功しない場合があり得ます。
 例えば、自分の場合、行政法について、会議録や関係法令の把握に50から55分といった多くの時間を充てざるを得ないことがあり、残された65から70分で答案を書かざるを得ない状況に陥ります。その場合にはそれに応じて方針を修正する必要があるでしょう。
 (当初の方針に従う場合はもちろん)方針を修正した場合に特に意識すべきことは、③配点との関係です。
 最後の問題を書いている途中で試験終了なんてことはほんとにもったいないです。自分は、配点との関係で頁数を配分するというのをよくやっていました。
 なお、刑事訴訟法などの設問毎に配点が明示されない科目については、各設問に関する事実の量によって配点をある程度予想することができるでしょう。

 また、答案を書く際に強烈に意識すべきことは、④自分が書いた文字数がどれくらい加点の対象になるかです。
 同じ理解の内容が採点者に伝わるのであれば、文字数が少ないに越したことはありません。そこで浮いた時間を他に充てることができます。文章を書く際には、貪欲に密度を意識しましょう。不必要に問題文を引き写している時間などありません。
 ここでは設問毎の配点(③)だけでなく、当該設問における論点毎の重要度との関係を意識する必要もあるでしょう。事前準備として論証を記憶する段階から(も)意識しておく必要があります。
以上