答案のおとし所

(元)司法試験受験生の立場から、再現答案のアップしたり、日々の勉強での悩み、勉強法などについて書いていきます。

ロー生、ついでに国家公務員総合職

1 本記事の対象者(読者)

 はじめに、本記事は、国家公務員総合職専業受験生を主な対象としておりません。「ついでに」というのも国家公務員総合職専業受験生からすると癇に障るかもしれませんがご容赦ください。

 本記事を読んでいる方は、「受験料はタダだし、とりあえず保険として公務員試験でも受けておこうかな」というスタンスかもしれません。
 
 本記事は、まさにそのような方に向けて作成しました。特に、①ロースクール生(修了見込みを含む)であり、かつ②予備試験短答式に合格していない方を主な読者として想定しています。
 このような限定をしているのには主に2つの理由があります。1つは、ロースクール生の可処分時間の少なさです。現在ロースクールに在学している方であれば実感していると思いますが、意外と課題が多くこれと並行して司法試験過去問を検討するだけでほとんど可処分時間がありません。このような中で、保険として受ける公務員試験に割ける時間はごくわずかであり、「残された可処分時間でコスパよく」合格する方法を知りたいと思っているでしょう。もう1つは、予備試験合格者の一般教養科目における得点力です。予備試験短答式に合格できる方は、一般に国公立大学の在学生や卒業生、それ以外でも大学受験で成功された方、英語力が高い方といったように、一般教養科目における得点力を有している方が多いと思います。他方で、そうでない方はこの得点力がないことが弱点になってしまうため、これを補う方法を考える必要があります。
 つまり、本記事の想定する読者は、①+②=「一般教養科目であまり得点できないけど、どうにかコスパよく公務員試験に合格したい方」ということです。自分もここに位置しています。
 実際、勉強こそしていないものの何度か1次試験で不合格となっています。令和2年公務員試験では初めて2次試験に進み、無事最終合格(行政区分127名(最終合格者)中30位代)することができました。なお、同年に実施されないこととなった政策課題討議、自分が同年には行わないと決めた官庁訪問については具体的には言及しません。
 
 以下では、どの試験区分で受験するのか(2)や合格した場合どうなるのか(3)ということを一通り説明してから、実際の試験科目の対策(4以降)について書いていこうと思います。公務員試験についてよく知らないとい方は2から、前置きはいらないという方は4から読むことをお勧めします。

2 どの試験区分で受験するの?

 例年であれば4月頃、人事院のホームページ(採用情報NAVI)で事前登録が始まります。事前登録後、ホームページ上で出願という流れになります。
 基本的に試験実施年度の4月1日現在における年齢が21歳以上30歳未満の者が受験をすることができます。

 冒頭から公務員試験と言っていますが、本記事の読者が受けるべき試験は「国家公務員採用総合職試験(院卒者試験)(法務区分を除く)」です。また、試験区分は「行政」がベターです。
 ロースクール生で修了見込みでない方、つまりは最終学年でない方は院卒者試験を受験できません。その場合は、大卒程度試験を受験することになり、試験区分は「法律」がベターです。大卒程度試験と院卒者試験のどちらも受験することができる場合であれば、院卒者試験を受ける方が、試験内容や待遇との関係で有利になるといえます。具体的には、1次試験(短答式)の基礎能力試験の科目すなわち一般教養科目の問題数の比重が下がります。また、2次試験(記述式)において選択できる法律科目が増加します。さらに、2次試験(政策課題討議)の時間も減少します。なお、法務区分というのは司法試験に合格している者が対象となりますので、ここでは関係ありません。

3 合格したらどうなるの?

 試験を受けるにあたって、合格=何?というのは重要なのではないでしょうか。それが、自分の求めるものに適うのであれば、受験のモチベーションアップにつながると思います。他方で、想定以上に時間を割かなければならないことになるのであれば、公務員試験の受験をやめて司法試験に集中しようと考えると思います。

 まず、公務員試験の1次試験及び2次試験を突破して最終合格=採用というわけではありません。最終合格者は、希望する各省庁へ官庁訪問を行い、各省庁との間で採用内定を獲得する必要があります。これは、即独を除けば、司法試験合格者も、各法律事務所の面接を受けることになるので、大きな差はありませんね。各省庁とは、会計検査院人事院内閣府等挙げればきりがありません。年度によって募集人数に差があるので確認が必要です。また、試験区分に関わらず応募できる省庁もありますが、基本的に院卒者試験の行政区分の最終合格者は事務系で応募することになります(技術系というのは理系の区分です)。
 次に、採用候補者名簿の登録について説明します。冒頭に書いた通り、自分は令和2年公務員試験に最終合格することができましたが、同年には官庁訪問を行わないことを決めました(コロナの影響で実施日程が変更され、本来は司法試験の後に実施されるはずであった官庁訪問が、司法試験(8月12日~16日)の前(7月20日~)に実施されることとなったことが理由です)。このような場合、もう官庁訪問はできないのか、つまり採用内定を獲得することができないのかということが心配になると思います。しかし、同名簿の有効期間は最終合格発表の日から3年間とあります(有効期間を経過した後は当該名簿から採用されることはありません)。そのため、とりあえずは名簿登録だけ目指そうという方もいます。つまり、司法試験の保険として受けるにはもってこいの試験と言えますね。なお、引き続き採用を希望する場合等には、インターネットを通じて3か月ごとに意向届の提出が必要となります。
 最後に、待遇について、院卒者試験で合格すると月255,600円~、大卒者程度試験で合格すると月224,040円~です。この金額を高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれかと思います。あとは実際に働いている方の月間労働時間との比較で検討するのが良いかと思います。いつも霞が関は明かりが灯ってる件について実際に働いている友人に聞いてみたら、残業代は満額支払ってもらえるわけじゃな…云々という話を聞きました。河野太郎氏は適正な支給を、そうなっていない場合には内閣人事局に通報をという旨のツイートをしたことが話題となりましたね。今後に期待です。

4 1次試験(短答式)に向けて

 1次試験(短答式)は、基礎能力試験(多肢選択式)+専門試験(多肢選択式)から構成されています。令和2年公務員試験では、428名(申込者)中202名が1次試験を通過しています。
 実施されるのはおおむね司法試験の1か月前なので、あまり負担にはならないと思います。
 基礎能力試験(多肢選択式)は、いわゆる一般教養科目であり、知能分野24題、知識分野6題を2時間20分で解答します。一般教養科目で得点力が期待できないという読者の方々はここが鬼門になると思います。逆を言えば、ここさえクリアしてしまえばこっちのものといった感じです。足切りの30%以上の得点を獲得しなければなりません。つまり9題の確実な正解を目指しましょう。
 特に、知能分野のうちの文章理解8題と数的処理16題が狙い目だと思います。文章理解は、文章の並び替えや文章の要約等が問われるため、ほとんど日本語力の問題といえます。とにかく接続詞をしっかり見たり、明らかに誤りと思われるものを排除していく等愚直に問題と向き合えば、ある程度選択肢を絞ることができます。また、数的処理は、試合、操作手順、立体図形、軌道、推論等多岐に渡ります。そのため、数的処理の問題集を解いて数周まわすのが王道の勉強方法かと思います。しかし、時間がないロースクール生としては、ネットに転がっている数的処理の基本問題の処理パターンを一通り確認するという作業で挑みましょう。1次試験は午前が専門試験(多肢選択式)、午後が基礎能力試験(多肢選択式)という順番になっているので、自分はお昼の時間を使ってネットサーフィンをして処理パターンを記憶しました。最近では各種予備校がYouTubeに解法テクニックをアップしていることもあるので、これを視聴するのも有効だと思います。さらに、推論も狙い目だと思います。推論は、ロースクール生でも馴染みがあると思いますし、図を書いてこれまた愚直に検討すれば答えが出ますので、時間をかけてでも解答したいです。加えて、英語力に自信があればそこでも得点したいところです。
 他方で、知識分野というのは、知能分野と異なり、まさに知識がなければ解答できないという問題です。そのため、ここで得点するのは、知識分野と比べると難しいように思います。ここに時間を割くよりも、是非とも頭をフル稼働させて知識分野での得点を目指してほしいと思います。

 専門試験(多肢選択式)は、試験区分によって解答すべき問題が異なります。行政区分の場合、選択群Ⅰ~Ⅲから「選択Ⅱ 法律系」を選択するのがベターです。
 「選択Ⅱ 法律系」は、必須問題31題(憲法7題、行政法12題、民法12題)+選択問題9題から構成されます。試験時間は3時間30分です。
 予備試験合格を目指した勉強をしていない方や行政書士試験の勉強をしたことがない方にとって、必須科目のうち鬼門は行政法だと思います。司法試験で馴染みのある行政事件訴訟法や行政手続法に限らず、行政不服審査法等も当然に出題されます。最低限勉強をしておかないと、ここでの失点は大きなダメージになると思います。補強するための教材は、六法であったり何でもいいですが、LECの完択なんかは行政手続法・行政不服審査法行政訴訟法だけでなく、情報公開法や行政組織法なども記載があるので便利かもしれません。

 他方で、必須科目のうち憲法民法は司法試験の短答式と被るため、準備は不要だと思うかもしれません。しかし、やはり異なる試験であって、出題形式が違ったり、司法試験過去問にないような判例が問われたりするので、不安がある方は事前に問題にさっと目を通しておくことをお勧めします。
 選択問題は、任意で9題を選択して解答するものですが、商法3題、刑法3題はマストで解答して、労働法3題又は国際法3題のいずれかを選択して解答するのがベターだと思います。自分は司法試験の選択科目で労働法を選択しているので、労働法の問題はわかりますし、解答できます。司法試験の選択科目で労働法又は国際法(国際私法と国際公法のいずれに当たるかまでは判断する能力は自分にはありません)を選択している方は有利になると思います。刑法は上記の憲法民法についての分析が、商法は上記の行政法についての分析がおおむね妥当すると思います。

 1次試験に合格すると、2次試験までに、住民票記載事項証明書、修了証明書、面接カード等を準備することが必要になりますので、余裕をもって資料の準備をしましょう。
また、1次試験当日に配布される受験心得は、捨てないで保管しておきましょう。住民票記載事項証明書を発行する際に使用することになります。

5 2次試験(記述式)に向けて

 2次試験(記述式)は、14科目のうちから任意に3科目を選択して4時間で解答することになります。
 ここでは、憲法行政法民法、商法、刑法、民事訴訟法、国際法のうちから3科目を選択するのがベターだと思います。自分が得意な科目を選択したり、時間に余裕があるので全てにさっと目を通した上で高得点を望める科目を選択して解答すればよいと思います。
 
 2次試験(記述式)で注意すべきなのは、六法を参照できないこと、解答用紙が司法試験と異なることです。
 正直に言って、2次試験(記述式)の各科目の難易度はそれほど高くないと思います。イメージとしては、ロースクール入試、ロースクールの期末試験等と同程度という感じです。もっとも、六法を参照できない中で答案を作成するというのはとても苦痛です。普段当たり前のように検討できていた要件を漏らすおそれがあります。そのため、六法を参照できないということを前提に、六法への依存度が少ない憲法行政法民事訴訟法等を選択する又は司法試験短答式対策で条文素読をしたことがある憲法民法、刑法を選択するという作戦もあると思います。他方で、令和2年公務員試験の憲法では行政組織法の論点(おそらく)が問われており、行政法でも司法試験では問われないような論点(具体的なことは忘れてしましました)が問われており、苦戦する場合があるかもしれません。自分は民法、商法、刑法を選択しましたが、条文を何度も読んだことのある刑法においても放火罪の適用条文について多少不安になりました(刑法108条は現住又は現在、同109条は非現住かつ非現在、自己所有は2項で公共の危険が要件となる、115条等)。
 解答用紙はマス目が付いた原稿用紙(横32文字×縦28行の裏表×2-7文字で、おそらく1785文字)です。つまり、文字数に制限があるということです。また、筆記用具については特に指定がなく、マス目の付いた原稿用紙への訂正と挿入の仕方がわからなかったため、自分はシャープペンシルで解答しました。ロースクール入試でもこのような解答用紙が使われることがあるようですね。イメージとしては横書きの読書感想文の原稿用紙といった感じです。

 なお、2次試験当日は、2次試験(記述式)に先立ち、性格適性スケールというものが実施されます。YesNoの2択で答える質問100題を15~20分程度(正確な時間は忘れました)で解答します。運転免許証を取得したことがある方ならわかると思いますが、常識的にこれは選ばないだとうという地雷質問みたいなものも混じった質問です。もっとも、ここでの解答結果は合否判定に一切関係ないので、気負う必要は全くなく準備も不要です。時間内にマークシートを塗り潰すだけの作業だと思っていてください。そのため、鉛筆は準備しておいて方が良いです。

6 2次試験(記述式以外)に向けて

 2次試験(記述式以外)は、人事試験(面接)+政策課題討議試験から構成されます。
 もっとも、令和2年公務員試験は、コロナの影響で、日程が延期されただけでなく、政策課題討議が実施されないこととなりました。冒頭から読まれている方ならわかると思いますが、自分は令和2年公務員試験に出願した時点から司法試験>公務員試験というスタンスでした。また、司法試験の前に実施される公務員試験でコロナに罹患してしまったら、司法試験を受験できなくなるおそれがありました。そのため、公務員試験の受験を控えることを検討していました。しかし、同年の受験を決めたのは、やりたくなかった政策課題討議が実施されないこととなったことと初見の改正民法の短答式を解いてみたい(新設条文で何が出題されるのかを知りたかった)と思ったことが大きかったです。

 面接は、実施日程が6月4日~12日から8月3~11日に変更され、実施されました。
 自分を含めたロースクール生の多くは、民間就職の面接もほとんど経験がないと思います。以下では自分の面接に向けた事前準備と実施内容について書いていこうと思います。

 まず、クールビズ問題を片付けておきましょう。
 例年もさることながら、令和2年では8月実施ということもあり余裕で30度を超える暑さでした。いくら世間的にはクールビズだとは言っても、面接はしっかり上着を着て、男性であればネクタイを締めてというフォーマルスタイルがいいのではないかと心配になりますよね。結論から言って、クールビズで大丈夫です。クールビズとは地球温暖化対策の一環として平成17年度から政府が提唱する過度な冷房に頼らず様々な工夫をして夏を快適に過ごすライフスタイルをいい、その一環として室温の適正な管理とその温度に適した軽装等の取り組みが行われます。クールビズ期間は5月1日~9月30日ですので、ばっちり期間内ですよね。令和2年では、面接に先立ち官庁訪問(令和2年はオンライン)が実施されましたが、各省庁はノーネクタイ、ノージャケット等無理のない服装でお越しくださいとのアナウンスをしていました。実際、フォーマルスタイルが1割、一応ジャケットのみ持って来たというのが2割、クールビズが7割といった感じでした(8月3日)。また、面接会場では、普段の実力が発揮できますようクールビズで構いませんという旨のアナウンスがされました(当日言われても…という感じですし、あらかじめ人事院もアナウンスすればいいのに…)。

 次に、順番が前後しますが、面接の実施内容について見ていきます。
 当日は、待合室に受験者全員が集められ、自分の順番になったら面接室に向かうという方式が採られていました。待合室で面接カードを提出します。面接は、事前に記載し当日提出するこの面接カードに沿って進められます。つまり、面接カードに記載する事項によって面接で聞かれることが決まることになります。
 面接カードには、これまでに取り組んだ活動や体験において達成感を感じたことや力を入れてきたりした経験(以下「経験等」という)を、①学業や職務、②社会活動や学生生活、③日常生活その他(資格、特技、趣味、社会情勢等で関心があること)の3つのフィールドに分けて記載することになります。また、④志望動機を記載する欄もあります。
 面接は、3名の面接官が、面接カードに記載された事項3つ(上記①~③)に対して、各約5分の質疑を行い、面接全体は約20分で終了します。
 経験等については、ロースクール生は案外悩むではないでしょうか。なにせ可処分時間が少ないので、勉強以外に時間を割いてエンジョイしているロースクール生というのはあまり見たことがありません。自分も記載すべき内容があまり浮かばず苦労しましたが、①アルバイトでの失敗経験、②ロースクールでの勉強(自主ゼミ)内容やその運営、③趣味について記載しました。行政区分を担当する面接官は、面接期間中を通じてロースクール生と対峙することが必然的に多くはなりますが、彼ら彼女らは各省庁所属の公務員でありロースクールの実態について詳しいわけではありません。なので、ロースクールの話をするのもアリだと思います。
 ①について、真ん中の女性面接官から、どんな内容のバイトなの?どんな問題が起きたの?どのように改善したの?(改善策を伝えたと言ったことに対して)納得してくれた?という質問を受けました。一番和みました。緊張を和らげてくれる感じでした。
 ②について、向かって左の中堅男性面接官から、司法試験を目指した理由は?なぜ司法試験ではなく公務員試験を受験したの?司法試験での学びは公務員にどう活かせると思う?(自主ゼミで答案作成について失敗の共有をしたと言ったことに対して)どんな失敗をし、どのように共有したの?ロースクール在学中に勉強以外に何か活動していた?(法整備とか立法政策に興味があると言ったことに対して)どういう分野に興味があり、具体的にはどんな政策を想定しているの?という質問を受けました。やはりなぜ司法試験ではなく公務員試験を受けたのかは問われるようです。あと、官庁訪問でもないのに具体的な政策とかまで突っ込まれたのは免を食らいました。
 ③について、向かって左の若手男性面接官から、(趣味の)魅力は?(趣味をするとき)何を考える?(趣味から)学んだことはなに?(趣味は)公務員にどう活かせる?という質問を受けました。一番ふわふわした記載だったのに結構話を広げて質問してくれました。
 志望動機については、面接では触れられませんでした。正直ここが重要なんじゃないかと思っていたので拍子抜けでした。
 8月3日は、面接室が11室設けられ、各面接室に約7名の受験者が振り分けれていました。面接の1番目が開始された13時からだったので、7番目の方は約2時間後から面接が開始されることになりますね。お昼ご飯は済ませておいた方が無難でしょう。自分は、1番目ではありませんでしたが、前の方が欠席だったため繰り上げで1番目になりました。
 面接では、所属大学や所属大学院がわかるような発言をしてはいけないということに注意しましょう。これも面接前にアナウンスがあります。そして、面接後にロースクールの修了証明書を提出して終了です。

 最後に、面接の事前準備について見ていきましょう。
 前述の通り、面接での質問は面接カードによって決まります。そのため、面接対策の肝は、面接カードの作成にあります。
 面接カードに記載した事項3つ(上記①~③)について、面接官は、主に何を?どのように?なぜ?と言った質問をしてきます。受験者としては、自分が記載した経験等について記憶しておくことももちろん必要ですが、何より質問される事項をあらかじめ想定し、それに対しての回答を準備しておくべきです。大それたことを言っていますが、前日に1時間くらい使えば十二分に準備ができると思います。なんとも基本的な質問がされてあたふたすることがないように、社会人の友人とかと一緒にこの記載だと何を質問したくなるだろうということをお喋りするだけでも効果があると思います。実際、おおむね自分が想定していた事項が質問され、即答していました。他の受験者のブログと比較すると、即答しすぎていたせいか、質問される事項が多かったように思います。たしかに疲れますが、これもキャッチボールの回数が増えて自分をアピールできる機会が増えたと前向きに捉えていました。
 記載した事項以外の質問としては、記載した経験等をどう公務員に活かせると思う?なぜ司法試験ではなく公務員試験を受けたの?等です。この辺も質問されたら回答できるようにしておきましょう。
 志望動機については、質問を受けないことが多いようです。あらかじめ面接経験者のブログにも同じような内容が書かれているのを見ていました。これを前提とすると、志望理由には力を入れなくても良いと思うかもしれませんが、そうではないと思います。志望理由欄を活かすには、志望動機を、経験等①~③の質問に対する回答の中で喋ることができるように組み立てることが有効だと思います。なぜ公務員試験を受けたのか?という質問に対する回答で使ってもいいですし、自分の根本にあるパーソナルな部分(総論部分)は、内容に一貫性がある限り、①~③(各論部分)で引用できるはずです。

7 官庁訪問に向けて

 冒頭に書いた通り、自分は令和2年公務員試験に最終合格することができましたが、同年には官庁訪問を行わないことを決めました。官庁訪問に対する知識がほとんどなく、公務員試験の中で一番未知の領域でした。これも司法試験前の貴重な時間を、官庁訪問(令和2年はオンライン)に割けないと思った理由の一つでした。なお、例年であれば、司法試験受験後に官庁訪問を行うことができます。